ひがのぼると読む「夢を紡ぐ」①

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ひがのぼると読む「夢を紡ぐ」①

このシリーズは、ひがのぼるといっしょに「夢を紡ぐ」をもう一度、当時に想いを馳せながら読もうという企画です。

※「夢を紡ぐ」は、2002年4月から2004年9月に毎日新聞(京都/奈良版)に掲載された子ども館の実践報告を書籍化したもの

当時を振り返って。

「対・教師暴力」の汚名のもとに、6人の生徒が逮捕されるという前代未聞のN中学へ校長として赴任した1998年。

6人の生徒の父親と教襟をひらいて対面した。教師の体罰への反抗が真実であることがわかり、合点できた。

3年間懸けて、生徒たちからの教師集団への信頼を恢復したが、その陰で「不登校」を余儀なくされた生徒たちに何一つできなかった。

それを固唾をのんで支えてくれた比嘉冶代は「この人の教育力をそのまま放っておくのは勿体ない」と考えたらしい(後に判明)

退職金プラス大金を銀行から借り入れ。そしてスタートしたのが「子ども館」である。

                                ひが のぼる

たった3人の入学式 2002年4月20日号

4月の澄みきった空気のなかを低く高く蝶が乱舞する今月8日、フリースクールに通ってくる子どもたちの新たな旅立ちを祝う式を「子ども館」1階ホールで行った。

彼らが登校しやすい午後に時間を設定したことがよかったのか、私たちの心配をよそに3人とも定刻にそろった時の胸の高鳴りは到底、言葉で表せないものであった。 

まだあどけなさが漂う中1のH。なかなか博学な中3のE。同じく中3だが、寡黙なTの3 人である。

学年も学校へ行っていない月日もまちまちな3 人に、新たな出発を励ます言葉を探すことは至難の技だ。

易しすぎては彼らに失礼だ。さりとて高尚な話では無粋だ。困ったぼくは、身ぶり手ぶりを駆使し、自分の身体に残っている動物の痕跡を質問することから始めた。

人類が永い時間をかけてヒトから人に進化してきたことを通して、退化と進歩を遂げてきた人間の身体に眼を向けてほしかったのである。

3人に共通する課題の一つは丈夫な身体を獲得 させることだと見て取ったからだ。  応援に駆けつけてくださったHの友達二人とそのお母さんや、Tのお母さんたちもにわか生徒になっていただき、弾けるような笑いもあった明るく賑やかなスタートであった。

「温かく、優しさに満ちた入学式を本当に本当に有り難うございます。真心でお付き合いくださる大切なお友達まで出席して下さって、うれしく有り難く胸がいっぱいになります」とHのお母さんがこの日の想いをつづってくださいました。

子どもたちは新しい生活のスタートに際し、「花を育てたい。料理やクッキーも作りたい」「こ こでできることなら何でもやりたい」「これから いろいろなことを学んでいこうと思いました」と その希望を伝えてくれました。

短いメッセージに込められた子どもたちの深く切ない想いにどう応えていけるのか。スタッフ一同緊張と同時に、この子たちに元気づけられてのスタートです。

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